とあるXの戯言

色々社会不適合者の話

Xジェンダー当事者でその他色々社会不適合者による、どうでもいい話たち。

プロファイルX:011

皆さんこんにちは。
クソ暑くて死にそうです。夏生まれだけど夏大嫌いです。



さて、タイトルからも分かる通り、1年強ぶりにインタビュー記事を書くに至りました。万歳。

「インタビューってなんやねん」という方はこの記事をご覧ください。

ちなみに「プロファイルX」っていうカテゴリーでもまとめております。

あと全然今もご協力者の方々を募集中ですので、何なりとご連絡ください。

宛先はこちら。
メール:jitian.queergmail.com
(※「★」は「@」に読み変えてください)
ツイッター:@Jitian_queer



それではインタビュー記事、ご査収ください。


Xジェンダーの自認に至った経緯を教えてください。

明確に自覚したのはつい最近です。

子どものころは、思い返してみれば、ままごとなど、性別違和に関する記憶があります。
大学生になって、体型やファッションに気を配ることはなかったので、まだ違和感をはっきり覚えることはなかったのですが、人や場面によって感覚が変わっていることに気付きました。振る舞い方や言葉使いまで変わっているのです。
社会人になると、男性の役割を継続的に求められるようになり自己分析を行った結果、感覚の変化には規則性があることや身体違和があること、男性性と女性性で外見の拘りが違うことに気付きました。
あとはあなたのブログ見て、気付きました。

たとえば、外にいると身体を動かしたくなって、走ったり、格闘技や筋トレを行ったりします。これは外見を変えたくて行うわけではなく、ただ身体を動かしたいから自然に行うのです。
しかし、夜になると、なぜこんなに筋肉質なのか、肌が固く黒いのか、体毛が濃いのか、など身体が嫌になるのです。丸みのある体になりたいと思うのです。

前にも言った通り、私のXジェンダーとしてのアイデンティティ不定性で変化することです。場面や人で感覚が変わります。
この感覚を認識する元となったのが、ヴィトゲンシュタイン論理哲学論考』と、ヴァージニアウルフ『燈台へ』です。これらの本には「独我論」(Solipsism)というものが書かれています。これは、哲学における認識論の立場の一つで、自分にとって存在していると確信できるのは自分の精神現象だけであり、それ以外のあらゆる存在は疑いうると考える、というものです。
自分が何者かわからなくなったのでなぜ自分は自分であると認識できるかと思い、認識論の本を探した結果、それに思い当たったという感じです。
似たような理由で、デカルト方法序説』、映画『マトリックス』、ショーペンハウアー『意志と表象としての世界』などに手を伸ばしました。
Xジェンダーも自己完結的なものである以上、認識論的な話は避けられないと考えています。

読んだ本の中では『論理哲学論考』が一番印象的でした。『燈台へ』は、詩のような流れるような空気感、すごく感覚的で耽美的で美しいです。ただ、小説の中に出てくる男性批判に泣きたくなるときもあります。正直読むのはとても辛い本です。


Xジェンダーという言葉に出会ってから、思ったことや変わったことはありましたか?

自分の言葉使いやしぐさ、感覚について男性的か女性的かとカテゴライズするようになりました。
あまり自分としては気がのらないですが、男性的な仕草や女性的な感覚という性別区別みたいなことはしたくありませんね。

―カテゴライズしたくないけどするようになってしまった、という感じですか?

そうですね。

―差し支えなければ、なぜそうなってしまったとご自身で思うか、教えていただけますか?

Xジェンダーを知る前は自然に性グラデーションのような考え方が出来ていたのかもしれません。
しかし、不定性は男女の間を往き来するというのはスイッチみたいなものなら今日は男、今日は女みたいに分けたほうが社会的にもやりやすいと思います。巷で男性はこういうもの、女性はこういうものといった風に性差を全面に出すのが普通みたいですね。誰も可笑しいと思わないんですかね?
所詮、女性性的なものとか男性的なものなどというのは流動しないことが前提なんですね。前提が間違っているのに、二分法を適用しようとするのは違うとは思います。
じゃあどうすれば良いかと言われるとわかりません。社会と関わる為には一定のカテゴライズは必要かもしれないと思います。


Xジェンダーであることを今までカミングアウトしたことはありますか?これからする予定はありますか?

性の揺らぎがあるみたいな言い方で同僚には話しました。元々、自分は変わり者だと思われていたので何とも思われていないみたいです。
これから予定はないですね。



―カミングアウト前後で、ご自身に心境の変化はありましたか?

カミングアウトしても何も変わらないということに気付きましたね。案外、周りは私のことを分かってたみたいです。


―今後やりたいこと、実現してほしいことはありますか。

個人的にやりたいことは、普通に生きることです。感覚が変わっても楽しめる生活がしたいということです。あとは、インテリア、音楽、読書、グルメをもっと楽しみたいかな。

社会に臨むこととしては、個人が自立した極端な個人主義の社会になることですかね。プライバシーが認められお互いを詮索しない社会です。これは公共空間でも認められるべきだと私は、考えます。あくまで考え方では。
また、私にもには支配欲、競争心、プライドもあります。矛盾していますがプライバシーが欲しいと言いつつ、プライバシーを侵したい欲求があるのです。そうなるとある程度の個人間での闘争、事件や寂しさ孤独と向き合わなくてはならなくなるのだけど、そういう矛盾した感覚を含めて人生だと納得出来るような社会になったらよいなと思います。

―個人的には、そういう社会が実現したらよいなと思います。



プロファイル011

セクシャリティ/表現する性別:生物学的に男性。それ以外は分からない。
年齢:30代
職業:会社員
治療:個人の趣味の範囲内