とあるXの戯言

色々社会不適合者の話

Xジェンダー当事者でその他色々社会不適合者による、どうでもいい話たち。

【観た】Netflixオリジナル『彼女』

こんばんは。

この度Netflixで配信が始まったオリジナル映画『彼女』を視聴しましたのでその感想を。ネタバレ注意です。

https://www.netflix.com/title/81261676www.netflix.com
(リンク埋め込むときに英語タイトルがRide or Dieだって初めて知ったわ)


原作が『羣青』っていう傑作とお聞きしている百合漫画だということなのですが、結局今のところ読んでいないのですよねえ。
https://www.amazon.co.jp/dp/B091KMJ7PR/www.amazon.co.jp

と思ったら今リンク貼るためにAmazon開いたら上巻が5月20日までKindleでなら何と無料で読めるらしいので、えーじゃあこれは後々ちゃんと腰を据えて読もうと思います。気が向いたら追記することとします。

以降、映画のあらすじとかは書かないので、予め視聴するか、他のネタバレサイトで読んでください。


賛否両論

(あまりよくないことかもしれませんが)記事を書く前にざっとネット上での評価を読んでみましたところ、一言で表すなら賛否両論ですね。

特に原作ファンの方は酷評を読んで見ないでおくと宣言している人が少なくないようです。原作ファンの人がそう思うくらいならば、配信が始まる前に原作読まないでおいて正解だったかもしれません。

色々と激しい

あまりよくないと思っている人の理由の一部は、過激すぎるだとかおせっせが多いとかっていうものなのですが、確かにそれは否めない。

冒頭からおせっせ(しかも男女の)を見せられたと思ったら喉掻き切って、血がプシャーっって飛び散っているさまは、私はそういうの得意じゃないのであまり見ていられませんでした(とはいえ、その後のシャワーで血を洗い流しているシーンでドーナツ食べながら見てたんですがね)。

何度かある(何度もあるんかい)おせっせシーンも、何となくおせっせしてまーすお察しくださーいっていう遠めの描写じゃなくて、完全に俳優さんの乳も陰毛も丸出しで映ってまして。よく言えば主演の2人による体当たりの演技なんでしょうけど、これに対して「シスヘテ男性向けの演出(要はAV)」という意見もあって、確かにそれはあるかもなあと思います。あまりこういう言い方はしたくないのですが、監督男性ですしね。
実際、言われてみれば特に最後の主演2人のおせっせシーンはめっちゃ2人とも喘いでて、まあレイにとっては10年越しの念願だったわけだから分からんでもないけど、視聴中でさえ、それにしてもAVみたいに喘ぐな?「死んじゃう~」ってマジのビアンのおせっせでも言うのかね?(人によるだろうけど)と違和感を覚えたのは確か。

それでもビアンがいい

上述のようなところもあるのですがそれでも個人的には観て最悪とは思いませんでした。レイと七恵の関係性が分かりみが深くて。もちろんレイ視点で。
この辺りが実感として共感できないとただの過激なビアンの映画と感じるかもしれません。

2人の恋人でもなければ友人でもない、強いて言えばかつて金を貸し借りしていた利害関係からいきなりの再会によりDV夫を殺しちゃうくらいの関係性に発展すること自体は何とも形容しがたいのですが、少なくとも2人の最初の出会いの似顔絵デッサンのシーンの七恵の笑顔見たら惚れるの分かるわあ。多分俺がレイだったら俺も惚れてたわ。金持ちだったら金も貸してたわ。
ただ、だからこそ、結局最後おせっせするんかーいってちょっと興ざめしてしまいました。

終盤の海岸へ向かうドライブのチェリーもグサッと来ましたなあ。別にチェリーもYUIもそれほど好きではないのですが(え?)、ド世代なので。
2人が29歳って設定だと、ちょうど高校生になった頃にチェリーが発売されたと思われるので、レイからしたら本当に当時♪恋しちゃったんだーですよ。いいなあ。
ただ他に流れているBGMは基本的にシーンと合っていないような気がして解せなかった……シーンが軽くなるような気がして……。

色々と申してきましたが、でもやっぱり捕まるっていうバッドエンドではあるんですよねえ。
そもそもいかなる理由であれ人を殺した時点で逮捕はかなり免れない状況だと思われるので分かっちゃいたのですが、せっかくのビアンの映画なのに、なかなかビアンがハッピーになる映画ってのはないんですねえ。
バッドエンド自体は嫌いではないというかむしろ好きな方なのですが、今度はそういうエンパワーメントするコンテンツを見たいなあと思っています。
あと、レイたちビアンが自分のことを「レズ」って言うのは自虐であって、「レズ」って他人に言っちゃダメだってのは「知識ある他人事層」の人に分かるかなあというのは少し不安。

しかし、百合大好きなのですが、個人的にこの映画は百合映画だとは言い難いところがあるんですよね。何でかな。レイ(バイじゃない)が(理由が何であれ)男2人とおせっせしてるからかなあ。

演技

主演の2人は本当に文字通り体当たりでした。演技でそこまでさらけ出そうとするガッツがすごい。2階から飛び降りるシーンもあれマジで飛んだのかしら。あんなに脚細いのに。

特に、さとうほなみさん(ゲスの極み乙女。のドラマーのほな・いこかさん)は個人的に『窮鼠はチーズの夢を見る』のときよりもさらによかったって感じました。レイに暴力を奮われて今までの暴力がフラッシュバックして怯えるシーンとか、別荘で家族の尊さなぞを説かれて絶叫するシーンは最高でした。
そういえば、皆家庭を持てば幸せ!家族、子ども万歳!みたいな価値観の押し付けがこの別荘のシーンで見直されてるのはよかったですね(別にレイの兄がこれから幸せな家庭を築こうとするのを否定するでもなく、みんなそれぞれ色々事情や過去があるんだよっていう感じが)。

まあしかしながらこれは多くの人に共感いただけるのではないかと推察しますが真木よう子さんが真木よう子さんで、本当お美しい……語彙力など飛んでいく美しさ……それだけでも観る価値がある。(ストーリーの中で、手は出していなかったようですが高校生のレイとお近づきになってるのはちょっといかがなものかと思いましたがね)



個人的には、エログロにある程度免疫のある人にはおすすめします。
苦手って人は観ないことを推奨しますが、映像配信なので嫌なシーンはすっ飛ばして観ることもできますからね。映画館だったらいい音響の中で血がプシャーって吹き出したり、フェラや膣を掻き回すくちゃくちゃの水音が否応なしに響きますが、そんなのは飛ばして観ないっていう選択もできるわけで。

関係者の皆様お疲れさまでした。

2021/4/26 追記

映画原作のマンガ『羣青』を読んだのですが、思いのほか長くなったので別エントリとして書きました。
www.jitian-queer.com