とあるXの戯言

色々社会不適合者の話

Xジェンダー当事者でその他色々社会不適合者による、どうでもいい話たち。

『きのう何食べた?』

しんどい。
しんどいよ。

今回は先月(2019年6月)終わったドラマのうち第三弾、『きのう何食べた?』の感想を書こうかと。
これでこのシリーズは最後。

じわじわとしんどい。
去年旋風を巻き起こしてこの夏また一波乱起こす予定の『おっさんずラブ』のように明らかなロスではないのだけど、地味に週1の癒やしとなっていた『きのう何食べた?』が終わってしまってしんどい。日照時間が記録的に短いのもあって日に日に気持ちが暗くなる。二人のほっこりしたやりとりを見て回復したい。おいしそうで効率的なレシピを見て感心したい。

そういやシロさんの料理する様子を見て「久々に料理しよう」と独りごちってたのに結局一回も実行しなかったな。

実はドラマ終盤から放映後の期間で行われていた『きのう何食べた?展』にも行ってきたので、以下そこも合わせて思うままに書こうと思います。





今まで『腐女子、うっかりゲイに告る。』『俺のスカート、どこ行った?』の感想を書いてきたけども、個人的には一番リアリティがあって、一番軽くて、しかし一番小さな切なさが沢山あるドラマだったと思う
というのも、どちらも登場人物が主に高校生なんだもの。忘れたよそんな十年近く前の話、感覚なんて。

ちなみに上記2つの感想にもならない感想はこちらから。



本作のよかったところ一つ目は、最早癒やしとは異なるんだけれども、やっぱりシロさんの料理が効率的、庶民的で(特にめんつゆなんか、めんつゆ最強)、何よりおいしそうなところ……効率的な仕事ぶり見るだけでストレス解消になるんだね……。

基本的に、シロさん人の目気にしすぎで節制も自他共に厳しいところを見るにつけ「人生つまんなさそwwたまのハーゲンダッツくらい楽しく食えやww」って思ってたけど、その節制を解く例外的なクリスマスディナーメニューが料理の中では一番印象的だった。
いや、ていうかもう先に書いちゃうけど、俺登場人物の中でジルベールが一番印象的で、そのジルベールが特に面白かったからクリスマスディナーが印象的と言った方が的確だわwwwwwwww
自制したけど、展覧会で針ねずみステッカーだけは買っちゃったもんね……本当は針ねずみTシャツ買いたかったな……前に並んでるお方は万単位でグッズ買ってたけど……どの世界にも金に糸目付けず買う人ってやっぱりいらっしゃるのね……。

ていうかジルベールが好きって言うより、ジルベールとケンジの水面下のやりとりが面白かったwwwww指輪とかさwwwwwwwwwwwいやでも思い出したついでに夕食時に「ほれ」って渡しちゃうシロさんも分かるけどねwwwwwwwwwwwwwそこは気にするアンテナまるでねえのなwwwwwwwwwwwwww

とまあこんな感じで毎週基本的に切なくても大爆笑しながら見てた。そして癒やされてたんだよなあ……。



しかしまだ自分自身は中年ではないがリアリティは常に溢れていた。
親との関係とか、将来のことをかなり考えさせられた。そこはかなりシビアに感じた。
親と縁を切りたい、切った人も、適度に里帰りする人も、そういう前の段階の話でほとんど縁切り状態となってしまった人も、色んな場合があるよなと。8話のケンジの友達年上カップルの発言「ビタ一文渡したくない」の重さよ……勝手に色々想像してしんどすぎて泣ける……あの世代だからこそのことも沢山あるんだろうなあ……。

シロさんはその点本当にすごい。常に両親には突っ込みどころ満載だったけど、相対的に見るとすごく上手くいってる方だと感じてしまう。相対的に見るもんではないのに。

あと、ちょっと話ずれるけど、トレンチコートをあんなに似合わなくさせる内野さんの演技もすごい。演技で似合わなくさせるって何だ。あれがプロ。

ほかにも、ケンジの気持ちも分かるがアウティングはダメだぞとか、俺も根本は世間体気にしてカムしていないけどスイカの食べ方とか街のカフェでの見られ方とかまではいちいち気にしてねえぞとか、そういう点で一番身近な話として本作を見られていた。
まああんなイケオジそうそういねえけどな。



そう、俺はゲイではないにしろ少なからずLGBTQ当事者として見ていたわけだ。
そりゃBLもしばしばたしなむけど、その観点で楽しむにはあまりにもストーリーが生活に根ざしていて、リアルさと切なさが一番本作では強かった。俺の中ではな。

(※以降ほぼ個人的な話になります、すみません)

だからワクワク学校の当日、学校に昼参戦した後に展覧会行こうぜと、知り合ってから干支が一回りするほどの付き合いの長い地元の友人(十中八九シスヘテの社畜同級生)に言われたときは、二つ返事で乗ったけど(断る理由ねえし)、少し不安というか、ふわふわした気持ちになった。

これ前にも買いたかもしれないが、その友人とは嵐さんに関してはかなり協力するし、互いの家(実家)にお邪魔したこともなくはないほどの仲ではあるのだが、逆に言うとあとは勤め先の愚痴以外ほとんど話さない。
地元が一緒だからだいぶ生活ぶりも想像つくし、『おっさんずラブ』も互いに円盤買っているのも知っているので友人もBLもたしなむのは間違いないわけだが、互いのことを決して「腐女子」などとは言わない。『腐女子~』の三浦さんたちのようにBL談義で花を咲かせたりとか、そういうことは一切しない。あるところで一線を画している。
いわゆる「恋バナ」もほとんどはしない。いや、しなくてもいい仲であることに俺がおんぶにだっこしているだけで、過去に「鉄コン参加しようかなw」という友人に「感想待ってるわwwwwwww私そういうの来世で現世は一人で死ぬんでwwwwwwwwwおなしゃすwwwwwww」みたいな返ししかしないから、こいつぁ話す意味ねえやって思われて、あっちもしないのかもしれないけど。ていうか俺のせいな気がしてきたな。ごめん。

だって突然(学生当時は)「好きな女の子がいて」とか言えんやん。仕方ないじゃん。許して。



色々話がすれたが、つまり展覧会を一緒に行ったら、当事者感覚でドラマを見ている俺と、ファンタジーとして見ている(であろう)友人との温度差というか、話合うんかな?
確か1年前に『おっさんずラブ』をともにドハマりしていると分かって、カムしようかと思い立って結局チキンだからしなかったけど、今度こそすべきなのか?
とか色々考えながら当日を迎えた。

まあ結論から言うと全然しなかったけどなwwwwwww(チキン乙)

でもここに書いたようなこと、つまり「ケンジの気持ち分かるけどアウティングはダメだよねw」とか「親にビタ一文払いたくない気持ち……それまでのことを想像するとつらいなあ」とか「どっちが家で女性装してるとか何でそういう思考になるんだよwww」などは口が裂けても言えなかった。「アウティングとは?」って確実になるじゃろ。
なお、ジルベールが好き、とは言っといた。ついでに友人はケンジにハマっているらしい。ちなみに友人は私の1000倍手広くイケオジ好きである。

ここまで言うと逆に当人の目に触れたらバレそうだけど、まあまさか「Xジェンダー」なんて一言も言ったことねえしまず分からんだろ。



ちなみに展覧会は(やっと本題に入る)、基本的にはあらすじと原作を見返すのが主な展示でした。
実は恥ずかしながら原作を拝見したことがないのですが、原作を見ると実はシロさんとケンジが外で手をつないでいるとそれを見た若者が気持ち悪がって悪口言うなどの描写があったとは知らず、「この描写ドラマでなくてよかった~」と原画コピーを見ながら心底思っていたのでした。
あと、2人の住む部屋のテーブルや机の小物も展示されていましたが、改めて見ると生活ぶりめっちゃおしゃれやん



まだ原作ストック沢山あるとうかがったので、是非とも次回作を期待しています。
ていうか本腰入れてそのクール毎週放送までしなくても、30分を隔週放送とかでも個人的にはとてもありがたいのですが、ご検討いただけますと幸いです。





最後に、本作だけでなく、2019春クール3本ドラマに、どなたかがすでに言及しているであろうが、一言。

何でゲイだけなんじゃい!!!!!

強いて言えば『腐女子~』のケイト(ビアン)、『俺スカ』の光岡(トランス?)はいるにはいたけど、逆に言えばゲイ以外のLGBTQ当事者ってそれだけやん。ていうかトランス関連に至っては光岡だけやん。頑張ったな光岡。

多分同じこと去年も書いた……別に楽しかったよ……楽しかったけど……ゲイ以外も市民権を得られるといいなあ……道のりは険しい。



いつか友人とロケ地巡りでココロカフェ行けるような日が来ればいいんだけど。