とあるXの戯言

色々社会不適合者の話

Xジェンダー当事者でその他色々社会不適合者による、どうでもいい話たち。

【読んだ】マンガ『羣青』【ネトフリ映画『彼女』原作】

こんにちは。

先に本題と全然関係ない話をさせていただきたいんですけど(え?)、このほど私が森羅万象の中で一番好きと言っても過言ではない二宮さんが、仲の良い後輩たちと一緒にいよいよYouTubeチャンネル「ジャにのちゃんねる」を開設して昨夜から本格始動したので、よかったらチャンネル登録してください。国民的アイドルグループのメンバーと後輩のセンターなどをもってしても現時点でチャンネル登録者数100万人に届いていないんでどうかよろしくお願いします(何様)。
www.youtube.com

と言っても、昨夜から始まりますとか言っておきながら出し惜しみしていて全然何も始まっていなかったのでイライラしているんですがね。こちとらシルエットだけで中丸くんと山田くんと菊池くんだってことくらい担当じゃなくてもすぐ分かるんや。ジャニオタなめんなよ。



閑話休題

一週間ほど前にNetflixオリジナル映画『彼女』を観ました。

www.jitian-queer.com

上の記事を書いている際に、5/20まで原作『羣青』の上巻が無料で読めるということを知ったので下巻まで読んだのですが、上の記事に追記する程度にしようかなって当初は思っていたのですが少なくとも1000文字は軽く超えそうだなと思ったので別の記事として書くことにしました。

というわけで、以下原作および映画ネタバレ注意です。

お値段以上

量が多い

BLとかGLのマンガって値段は少年少女コミックより倍近くかそれ以上するのに30分くらいで読めるものが多くて正直あまりそういう点では買いたくないって思うことが多いのですが(それでも買ってるけど)、この羣青はシンプルに量がめちゃくちゃ多くてそれだけでびっくりしました。あんなに多いのに上巻全部現時点だけだけど無料で読めちゃっていいのかっていう。そういうわけもあって結局下巻まで買っちゃいました。全部読むのに4、5時間くらいはかかりました。

百合なのか?

個人的には百合漫画なのかと言われるとちょっと微妙な気がします。こんなに劇画な百合読んだことないし、確かにビアンは登場するけどそれ以外の生きづらさの方が焦点な気がして。まあ百合ってかなり色々なものを含めていい寛大さがあるから広義の百合漫画って感じでしょうか。

ただ、読めてはいないのですが、作者の中村珍先生はこのタッチのままでコメディ系百合漫画も描かれているようなので、必ずしもこんなシリアスな作品ばかりではないのですね。

ストーリーとか構成とかキャラとか

映画は過激さが目立つところが否めず、原作はあくまでインスピレーションを受けました的な立ち位置だとどこかで読んだのでどのほど映画と原作が違うのだろうと思っていましたが、思ったよりは一緒でした。

まず、表紙からしてアラフォーくらいの設定なのかなと思っていましたが、映画と同じく29歳でした。マジか。
ただ時代が違いますね。連載していたのが2010年辺りなようで、キャラクター設定から逆算するとマンガは2007年の話なのですが、映画ではYUIのチェリーが青春時代に流行った現代の29歳なので。ガラケー懐かしい。
ちなみに、下巻の最後に主なキャラクターの生年月日とか色々載ってるんですが、筆跡まで違う(キャラの筆跡になっている)のはどういう技なんですか……すごくないですか……。

全体的に違うのは重さでしょうね。劇画タッチってのもそうだし、マンガを読んでいる中では、映画で流れていたようなポップなBGMが流れる隙は見つかりませんでした。

しかしながら、マンガには映画のような過激さは感じませんでした。草子(映画の七恵)の痣もしっかり描かれていますし、殺す描写もおせっせ描写もあるし血が流れる回数で言ったらむしろ原作の方が多いと思うのですが、そこをどうグロテスクに・エロティックに魅せるかに重点を置いた作品ではないと思います。

そういったこともあって、マンガでも終盤で二人(智代美と草子)はおせっせするんですけど(ていうか久々の再会となった殺人依頼時にも1回シてた?映画と同じく草子の裸を見ただけ?)、映画ほど取ってつけた感はなくて流れがあったので納得できましたし、R18のBLマンガにあるような肌色がものすごいというわけでもなかったです。吹き出しがすげえ多い。とはいえ肌は随所で露出するんですがね。

最後の二人で出頭するラストも、必ずしもハッピーエンドとは言えませんが映画よりさっぱりしてて個人的にはこっちの方がよかったですね。
ただ智代美の元カノの慶が報われなくてですね……その点では映画の方がよかったかな……。

理解し合うのは無理なのかな

映画でもレイの兄でチャラチャラした見た目ながら「出頭しろ」と至極まともなことを言うあんちゃんが七恵にグサグサと理解のないことを言いまくるのですが、同じ描写がマンガにもあり、私はいよいよ兄ちゃんが大嫌いになりました(笑)。悪い人ではないのは分かるんですけど、特権階級の中でしか生きたことのない無理解の極みで毒親になる未来しか見えないんだよな……。

異性愛者と同性愛者、金持ちと貧乏、健全な愛のある家庭と暴力だらけの家庭……マンガにも映画にもこういういくつかの世界があるわけですけど、殊とマンガの方では、双方は理解し合えることはないっていう諦念をすごく感じました。

まあその気持ちは分からないでもないですけどね。
例えば、少し角度が違うかもしれませんが、『彼女』も含めて、昨今同性愛をテーマにするコンテンツが増えましたけど、そういうのを観た異性愛者が「同性愛も異性愛も同じだね!」とか安易に言うのを見ちゃうとうわあ~~~とか思いますよね正直皆さん、ねえ。
その人が言わんとしていることも何となく分かりますけど、社会的に女性として生きているクローズドパンセクの私が男性を好きなのと女性を好きなのでは障壁が全然違うんですよ、てことはもうその時点で全然違うんですよってことから言わにゃならんかね?

草子と比べれば円満な家族も金も持ってる智代美も、家族の同性愛への理解のなさには目を瞑って幸せだと思って生きてきたわけですけど、互いに理解し合えない部分は目を瞑るしかないんですかねえ。
まあかく言う私も、この間よく見る配信で配信者(シスヘテ男性)が思っくそ男尊女卑メンタリティの自称フェミニストぶりが無理過ぎて配信を見るのが億劫になったのですが、それでもただゲームしているだけの間は面白いのでその間だけは見て消費してますしね。
そうやって「上手く」他者と付き合うのが大人ですよって言われたらまあ仕方ないですわな。

でも前述の通りマンガが発行されてから約10年、だいぶ時代は変わりましたし、どうにかならないものなのかなあとも思いますが……。
マジョリティに理解されない要素を多く抱えていたり、折り合いをつけて目を瞑れない、あるいは目を瞑るのがものすごくストレスだって人ほど生きづらいんだなあとは改めて感じましたね。



一般的なゆるふわな可愛い百合を求めている人にはまったく薦めませんが、色々と考えさせられるマンガという意味ではぜひお薦めします。
ありがとうございました。