とあるXの戯言

色々社会不適合者の話

Xジェンダー当事者でその他色々社会不適合者による、どうでもいい話たち。

【#チェリまほ】ドラマ『30歳まで童貞だと魔法使いになれるらしい』レビュー

皆さんこんにちは。
いやー昨日は立て続けに見てたものが終了してしんどかったですね。明日も終わるんだけど。

さて、今回はテレビ東京にて今クール放送しておりました深夜ドラマ『30歳まで童貞だと魔法使いになれるらしい』のレビューを書いていこうと思います。
以下ネタバレ注意。

待望すぎる映像化

まず個人的な話をさせていただくと、私1巻出た頃から原作マンガのファンなんですよ。
嵐さん以外も広く浅くエンタメを頼んだり楽しまなかったりするのですが、映像コンテンツから入ることが多いので、原作を楽しむにしても映像化作品の後に読むことが多かったんですよね。
いやマジで追いかけてたマンガが映像化するなんて『ミルモでポン!』以来なんですわ。

そういうわけでドラマ化が決まったときには「マジか?!」って思いましたし、「え、でもタイトルどうすんやろ」と思っていたらまさかそのままだったのはびっくりしました。
原作を読み始めたときから感じていたこと、それがまさに中身がどれだけ良くてもタイトルがしんどいですね。正直言って。これはどこまでもついてくるもんだと思います。

ただ本当に原作の中身はいいんですよ。
そもそもBLマンガの表紙って肌色注意みたいなのばっかりで、それだけで結構萎えることもあるんですが、本作はタイトルの割に表紙が控えめで、で中身もすぐおせっせ始めるようなものでもなかったんで(まあすぐ卒業したらテーマ変わっちまうからな)、読み続けられていたんですね。

ちなみにドラマ最終日には原作第6巻が発売してます(未完。でもそろそろ終わると思う)。
そもそも原作が続いている状態でドラマが始まったということは、ドラマのストーリーは途中から原作とは違うわけですが、その点でドラマから入った方も逆に原作も新鮮に読めると思うのでぜひ読んで欲しいです。
ちなみに原作はドラマ以上にプラトニックでその点でも肌色ばっかりなのは苦手と言う方にも手に取りやすいと思うのですが、ついにこの最新巻でアッーて感じです(ほぼネタバレでは?w)。BLや、このタイトルの本をレジに持っていく勇気がないという方は電子書籍がよいかと(俺はそういう恥ずかしさのようなものは前世に残してきたので分からないのですが)。なお、回し者ではありません。

https://www.amazon.co.jp/dp/B08PBRDHX8/ref=cm_sw_r_cp_api_tyz5Fb8TPY6KV?_encoding=UTF8&psc=1www.amazon.co.jp

ここからは、LGBTQ当事者としてのドラマの感想、原作ファンのBL好きとしての感想に分けて書いていきます。

当事者として

大成功中の大成功では?????
実際、今クールのドラマの中でも思っくそ深夜帯でありながら大成功だったようですし(俺のTL上だけの話ではないよね?)。
そもそも原作がそんなにおせっせ万歳みたいな感じでもないのでそんなに変なことにはならないだろうと思っていたのですが、それでもややトゲを取りつつますます素敵な世界観になってたなと思います。
ここ数年色々見てきたけど、ほぼ観ていてモヤることなく、温かい気持ちでハッピーエンドで楽しめたのは今作が初めてじゃねえかな。

特に多様性については作り手側は非常に意識されていたようですが、この点についてはもう俺がとやかく言うより制作サイドのインタビューをお読みいただいた方がよいと思います。
例えば本作の脚本をご担当された吉田さんのインタビュー記事。
mi-mollet.com

なおこれはドラマを観ていて気になっていたのがこの記事で解決されたという話なのですが、安達と黒沢の同僚である藤崎さん(どうしても藤崎さんは藤崎さんと言ってしまう、なぜか)がドラマ上でAセク設定だったんですね。
ただドラマでは「Aセク」とかっていうワードは出てなくてただ恋愛に興味がないというだけにとどまっていて、「制作陣Aセク知らないんか?」と思っていたのですが、これはあえてそう表現しなかったということなんです。外からラベリングしない大事さ。
気を抜くとラベリング大好き人間に陥りがちなんで、なるほどなあと思いました。
原作者の豊田先生をずっと前からついったでフォローしていたこともあって、私のTLにはチェリまほの情報が結構流れてきていたのですが、裏話情報を読んでいて一番すげえなと思ったのはここでした。
(まあただ当事者としては自分の状態に名前があると知れた方がひとまず安心できるし、ドラマとか一気に広まりやすいコンテンツについてはその名前を知るきっかけにもなりやすいとは思うんですけどね。そのバランスはまた難しいですね)

まあ最後にストーリーに難癖付けるとすれば、相手を思って一旦別れる → やっぱりお前がいいんだと寄りを戻す → キスシーン際で終わり、という流れはどこかで見た気がするんですがね……まあどれとは言いませんがね……。

原作ファンとして

BLマンガ原作のドラマ化作品を、原作ファンとして見ても、成功だったと思います。
繰り返しになりますけど、ドラマ放映時点で原作は完結していないわけですし(ドラマ制作は一年前から始まっていたということですが、一年前なんてもっと原作ストーリー進んでない(公には))、つまりマンガと展開が変わることは放送開始時には明確だったわけで、そこがどうなるのだろうというのが一番私の関心どころだったわけですが、よくもまあ世界観や大筋ぶれずにここまで持ってきたなあと。

ただ、ストーリーだけではなくて設定がところどころ違ったり、付け加えられているところが多くて。
例えば、藤崎さんはドラマでは二人を優しく見守る同僚になっていますが、原作ではBLマンガに自己啓発本のカバーかけて会社で難しい顔をして読むほどのBL好きなんですわ(「くろあだ」と書いてあるうちわ振ったり、藤崎さんの妄想が付録になった巻もありました。ヒン)。
そういうわけで、個人的にはむしろ藤崎さんの妄想の映像化を一番心待ちにしていたのですが、そこは避けられてしまったので残念でしたね~。でもそれでも全然面白いし完結しているところがドラマ版のすごいところですね。

あとは湊がドラマでは明確にゲイ設定でしたがマンガでは特に描かれていません。それも、自分で認めてるから六角がそう言ったんだろうなと思いますけど。
そういや六角はマンガのちゃらんぽらんに比べたらずいぶんしっかりしたヤツでしたね。私の記憶では4巻くらいまで安達の名前覚えてないはずなんですが。キャラクターという面で一番好感度上がったのは六角かもしれん。

俳優さん

今回は本当に原作ファンから見ても全体的にマンガの再現度がどちゃくそ高かったです。それがすんなりとドラマを見られた一因と言っても過言ではありません。

どの方も高かったのですが、個人的ナンバー1は圧倒的に柘植ですね。演技もですが、ビジュアルがしゅごい。最初見たとき「柘植は2次元から出てきたんけ?????」ってびっくりしました。本当に。それしか言えん。

安達も本当に素晴らしかった。
特に原作1巻読むと安達の陰キャ感がすごいのは読んだらお分かりいただけると思うのですが、キラキラしている俳優がその感じを表現できるのか?だってどうせ私生活では陽キャなんだろ??と思っていたら、めちゃくちゃモサっとしてる……役者ってすげえ……。
髪型普通なはずなのに何か冴えない雰囲気漂ってるし、猫背でごはんモソモソと食べるところとか、すげえ……しかも演技感もねえ……。

とはいえ、何より感心させられたのは黒沢役の町田さんですね。
俺と町田さんの出会い(?)は、ビアンのトランスジェンダー女性が主役という、あの最先端すぎるNHKドラマ『女子的生活』で、主人公の家に転がり込むバカ、後藤役。

ドラマ見ているか原作読むかしていないと全然分からない当時の俺の『女子的生活』の感想はこちら。
www.jitian-queer.com

最初ドラマのキャストを知ったとき、「後藤が同僚系スパダリ?ふぁ???」と思ったのですが、ちゃんとスパダリやんけ……。まぶしい笑顔……後光が見えるぜ……。
(スパダリの定義については、黒沢程度じゃスパダリと認めない方もいらっしゃると思いますが(ローマ帝国の帝王とか、ドバイの金持ちくらいじゃないと認めないっていう方もいると思いまして)、俺としてはこのくらいのスパダリがちょうどよくてですね。)



本当に総じて素晴らしかったです(語彙力)。ありがとうございました。



しかし本当に地上波でやるコンテンツはBLというかゲイばっかよな。そろそろビアンやトランスもやっていこうよ。待ちくたびれてるんだが。