とあるXの戯言

色々社会不適合者の話

Xジェンダー当事者でその他色々社会不適合者による、どうでもいい話たち。

プロファイルX:010

皆さんこんにちは。

 

 

 

昨年秋頃からXジェンダー自認の人にインタビューを始めて、今年の初めころから途絶えていたんですけど

 

実は別に(なんだか疲れて)声高に募集しなくなっただけで、全然募集中だったんですね(今もだよ)

 

 

 

と、そんな完全に受け身状態でだらだら生きていたら、久々にご協力いただけるという方に遭遇しまして。

よかったね、俺。

 

 

 

というわけで今回は約半年ぶりのXジェンダーインタビュー記事です。

 

これでやっと10人目、2桁台に登りました。イエーイ。

 

 

 

それではご査収ください。

 

 

 

 

 

***

 

 

 

 

 

注:唐突にインタビュー内容が始まると分かりづらいので、先に時系列でインタビューに至った経緯を記載します。

 

・5月初め

レインボーウィークのイベントで、俺はX当事者として、今回のインタビュイーさんはアライとしてたまたまお会いする。(が、俺お名前聞いても覚えておらず。すみません、名前覚えるのが苦手で)

 

・6月頭

インタビュイーさんがXを知り、自認(加えてAセクかも?と思い始める)。

 

・6月某日

インタビューでお会いする(このとき俺氏「あのときのあの人だ」と顔と名前と記憶が一致する)。

 

 

 

 

 

ーXジェンダーの自認に至った経緯を教えてください。

 

(Xジェンダーを自認したのは)本当最近の話で、今月に入ってからなんですけど、本当に間抜けで。


 
大分遡ると、子どものころから本読むのが好きだったこともあって、割とセクマイの知識も一般の人よりはあったと思います。

 

ーそういう本を読んでいた?

 

好きだった小説にマイノリティの人が沢山登場していて、(世の中とは)色んな人がいるんだと思って育っていて。

自認と指向が別だと言うことも理解していたので、そこに対しての抵抗もなく、いわゆるフレンドリーという立場でいたんです。友人にもセクマイの人がいるし。

 

だったんですけど、あるとき友人の一人が「LGBTの人って声(意見)が大きいから、騒ぎすぎだから嫌だ」って言っているのを聞いて、「はあ?!何言ってんのこの子!言わないと伝わらないし!権利も得られていないから言ってるんでしょ」って、すごくびっくりしてしまって。

普段話していて差別的な発言をする人じゃないのに、そういうことを言うんだって。

 

これはいかん!普通の人がそんな風に思うんだ!ということが分かって、じゃあフレンドリーからアライになろうと思って。

 

で、それでレインボーウィークのイベントに出たんです。

あのときの自己紹介では「一応女性です」と言っていました。

 

ーでもそのときはまだXの自認に至っていないころですよね?なぜ「一応」と付けたのですか?

 

「一応女性」という感覚は実は昔からずっと持ってたんです。

 

ー別にX多めのあの場だから言ったとか、その頃から意識し出したのではなく?

 

今の自認は無性ですが、そこまで悩まずに生きていたので最近まで気付かなかったのだと思います。

 

小さい頃は、周りに「あなたは女の子なんだから」と言われて「そうか自分は女の子なのか」と特に違和感もなく受け止めていて。

兄がいるんですけど、身体の作りがどうみても違うから、じゃあ私は女の子なんだなと、事実として思っていました。

 

でも思春期になると、「何でみんな自分が女の子だって分かるの?」って疑問に感じてきちゃって。

それこそ性別欄で丸を付けたりするのに自信がなくなってきて。多分身体的に女だから女なんだろうけど、何でそんな自信もって「女子です」って言えるんだろうかと分かんなくなってきちゃって。

 

周りの女子にも「何で自分のこと女の子だって分かるの?」って聞いたりもしました。でも大体「何でって言われても、そうだし」と返ってきて。それに「ええ?!」と驚いて……そのころから「一応女性」と言うようになりました。

 

あと指向と自認が別っていうのも理解していたので(当時は男性が好きなんだと思っていたけれど)男性が好きだからって女性とは限らないし、と区別していたので、それも「女性」の理由にならなくて。

 

中学生から二十歳あたりまで(性自認のことで)もやもやしてたんですけど、二十歳になるころに「まいっか」と割り切るようになったんです。

身体的に違和感なくて生きるのに不自由もしてないから、まあ便宜的に女性ってことで、と片付けました。

 

でもワークショップに参加した後改めてXジェンダーについて色々調べていたら、「あれ、これもしかして自分じゃね?」と気付いた、という経緯です。

 

(人生の)全体的には悩んでないので、色んな人のブログとか読んでいると申し訳なくなってきちゃって。人と違うことに悩まなさすぎるだろと思うのですが。

 

ー正直、当事者自身か、よほど当事者に近い立場でないとワークショップに行こうとかそこまで頑張れないと思うんですけど、逆に差別的な人に出会ってアライになろうと思う人にお会いしたのは初めてですね。まあ結果としては当事者だったわけですけど。

 

そうかもしれませんね。

 

そういえば、母が学生のころに差別問題の研究していたこともあって、差別に対するアンテナが強くて。色んな話を母とはできていたので。

例えば「兄がセクマイだったらどうする?」と聞いてみても母は「別に。それより自立して欲しいかな」と応えていて、環境には恵まれていたと思いますね。

 

 

 

ー自認してから思ったことや、変わったことはありましたか?

 

これだ!って思ったそのときに友人に「ちょっと聞いてください」って話しました。その人には自認する前から「自認が薄いんですけど、何なんですかね」って話をしていたのもあって。

「自認薄いって言ってたじゃないですか、これみたいなんですよ!」ってテンション高くなっちゃって。

 

あと母親にも話しました。母にも自認が薄いとは前から言ってたんですけど、まず説明から入って。

 

友人もその後ネットで調べてくれたみたいで、(すっきりして)よかったねと言ってくれましたね。

 

悩むほどではなかったんですけどもやもやはしていたので、見つけたことに対して嬉しかったですよね。

地に足が着くってほどでもないですけど、少なくとも地面があったんだっていうことを知ることができたというか。

数学で言えば「0」が見つかったという感覚に近いのかなと。「ないがある」ということの発見ですね。

 

ためらいなく言える相手がいることは嬉しかったです。

マイノリティであることをネガティブに思わないように育ててくれた母には感謝していて、カミングアウトのときにも母に「育ててくれてありがとう」って伝えたくて言いました。

 

ーXを知ってからネガティブになることはありませんでしたか。

 

特になかったですね。

基本的には白黒付けたい性格なので、それが0だとはっきりしたからよかったし。

あと、それまで悩まずにいたのは母からの教えの一つで「悩んでも解決しないことは悩まない」っていうのがあったので。なので「分かってよかった」以外にはないですね。

 

ー他にカミングアウトしたいなという人はいますか。

 

誰彼構わず言いたい、言った方がいいってことでもないのでね。知って欲しいって思った人に言えばいいと思うので。

あとは、さっき言った偏見のある友人に言える時期はいつかあるのかなってことくらいですね。

 

 

 

ー今後やりたいことや実現したらよいなと思うことはありますか。

 

同性婚が合法化して欲しい。一応公約として書いている政党もありますけど、本当か?って思いますけどね。

 

まだスカッとはしてないけどAセクかなと思っているので、直接的には関係ないんですけど。

今まで男性としかお付き合いしたことないんですけど、その長続きしたことない原因が自分がAセクだからなのかなと……他の人の話を聞いていると、私はどうも恋の段階をすっ飛ばして安らぎとかを求めているようなので。

 

あと夫婦別姓ですね。

反対派の人たちは、別にみんな分けろって言ってるわけじゃないんだしと思うし、あと絆が云々言ってる人たちに対しては「あなたたちは苗字でつながってるんですか?」って。

 

認めることに何の不都合があるのかなって思うんですけど、でもまあ何かの不都合があるんですかね。

 

あと、少し話が飛躍するけど、幸せになりたい。

 

 

ーAセクかなと思われている一方で同性婚合法化が実現して欲しいと思うのはなんでしょうか。

 

偽善者っぽいかもしれないけど、他人の幸せを見ているのが好きなんですよ。

結婚式とかよく出てて、新郎新婦の親族とかより先に「よかったねえ」って号泣したり。

別に他人の幸せが実現することで自分の幸せが目減りするわけでもないんだし。

 

前に男性と付き合っているとき、男性に「女性と2人で食事行ってもいい?」と聞かれて、秘密にされるのは嫌ですけどオープンなら大丈夫だと思っているので「いいよ」って言ったんです。

なのに、別の知人が「いいよって言ったとしても本当はすごく気にしてるから行っちゃダメだよ」と男性に言って、結局その話はなくなった、と言われたことがあって。

勝手に私そういうの気にする女になってんじゃん!って怒ったことがあるんですけど。

 

私はどうして男女2人で出掛けただけで熱愛ってことになるんですかって思っているんですけど、自分がAセクだからという視点で考えてみると、世の中の人にとってはそうなのかもしれないと気付きましたね。

これが普通なの?面倒くせえ、って。

 

これでも周りから女性として見られているという認識はもつようにしているんですけどね、25歳くらいからは。自覚はしていないけど。

 

でも周りから、たまに女性扱いされると嬉しいんですよ。意識的に女性になろうと擬態しているつもりなので、擬態が成功していると思えて。

(補足:男性でも女性でもいいので、どちらかになりたい、という気持ちがあるのです)

 

ー私自身もですけど、女性扱いされたくないって思う人の方が多いかなと思うので、珍しいですね。

 

Xの人がよく言う、自分の身体が着ぐるみのような感覚があるっていうのは何となく分かります。

多分明日から男性の身体に変わっても違和感なく過ごせると思う。

 

ー一見似ていますけど、私は今の身体含めどれでも違和感が残ると思うので、その点は異なりますね。

 

 

 

 

 

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プロファイル:010

セクシャリティ:FtX(無性)、Aセクシャル(仮)

表現する性別:女性

年齢:30代

職業:派遣社員

治療:なし