とあるXの戯言

色々社会不適合者の話

Xジェンダー当事者でその他色々社会不適合者による、どうでもいい話たち。

おっさんずラブ終わってしんどい

皆さんこんにちは。ていうかこんばんは。

マジで好きなもののときは更新が早いよね。

というわけで記事タイトルの通り、今回は先週の土曜に放送が終わったばかりの

ドラマ『おっさんずラブ

の、どの辺りが好きでどの辺りがしんどいのかただひたすら書いて、このしんどさを昇華したいと思います。


よい意味で裏切られてどハマり

実生活でもパンセクシャルなので性別で選り好みはしない質で、二次元でも長らくBLもGLもたしなんでいる私ではありますが、今回民放のしかもナイトドラマ枠ということで、正直言うとドラマを見始めた動機としては

BL見たさより圧倒的に「深夜だからってポリコレ手ェ抜いとらんやろな」

という疑念でした。

それがだんだん、そういう「小難しい」ことをあまり気にせず「考えないで見られる週末の娯楽」になり、気付いたら

クッッッソ最and高じゃねえか。

心をガッツリ牧春に、否キャラクターたちにもっていかれていました。

※便宜上春田と牧のカップリングを牧春と言っています。BL、GLでもあまり地雷はない方です。



※※※ということで以下ネタバレ注意※※※













今回は、「BLをたしなむ者として」「セクマイ当事者として」「個人として」の3つに分けて書いていこうと思います。

BLをたしなむ者として

まず、今回BLのある意味「既視感のある甘々展開」を、それだけだったら場合によっては支部で読んでるだけでもつらくなってそっと画面を閉じてしまうようなものなのに

それを上回る圧倒的演技力で視聴者の目を釘付けにした主演の田中圭氏と牧役のケントハヤシ、共演者の方々に心から感謝申し上げます。

色々な意見があるとは思いますが、俺は

「BLはキャラありき」

と思っているので(キャラができあがっていれば勝手にストーリーが始まるという感じ)、ここではキャラを軸にしんどさを書き殴ります。


春田マジ春田、

天然で魔性の春田、お人好しの春田、鈍感の春田、そういうところが周りを引きつけて傷つけて、途中では牧があまりにも不憫でムカついてさえいたぞ。
ラストシーン10秒くらいも、本当そういうところだかんな。


絶大的にヒロインでコミカルな部長。

ちょっと加減が分からなくてやり過ぎちゃうところもあるけど最後は線を引いて大人なところは大人で、やっぱり憎めないんだよな。

ちなみに部長の行いに関して「セクハラ案件では」みたいなついーとも見かけた。

そこは正直俺も節々に感じてもやもやしていた。

だって、性別で置き換えるのはあまり好きではないのだけど、50代の上司が20歳近く離れている女性部下の家に出入りすると考えてみよう。

絶対アウトだよね。

でも、ハラスメントとは結局相手が嫌かどうかに帰すると私は考えていて、つまり周りの人はOKと言っていてもやられた方が嫌なら嫌だし、その逆も然り。

その点で考えると、春田は部長の好意や親切にとまどってはいたけど、でも「気持ち悪い」「嫌だ」とは言ってないと思うんですよね。
で、本当にこれはダメだと思ったときは、告白も断ってたし。

まあ春田が単に鈍感で伝える術をもっていなくて、且つお人好しだったというだけかもしれないけども。

でもやはり、天空不動産東京第二営業所では部長が一番権限をもっていて春田は平社員であるということは忘れてはいけないと思うんだよな。

職場恋愛って難しいね。

主任は自分の感情に正直で、憧れとしては一番。

ちょっとお近づきになりづらい雰囲気でプライベートも見えなくて、でも一度決めたら牧に(周りの目はいい感じに誤魔化して)突っ走る。
俺もあんな風に突っ走ってみてえなー!!(まあ今はその突っ走る先がねえんだけど)
「俺があいつがいないとダメなんだよおおお」ってなりふり構わない感じになりてえなー!!

ちょっとアグレッシブすぎるけどね!!

続編があるなら遠距離になった牧春、牧が春田のいる上海を訪れてロマンスでもいいんだけど、もう少し牧と主任の過去を見てみたさもある……。
(ていうか学生時代の牧がまじふにゃふにゃした学生で現在とはまるで違って、そういう点もケントハヤシはしゅごい)


そして牧よ。よく頑張った。本当におめでとう。

もう本当しんどかったよな、ずっと切ない顔してたな、でも本当にこれからは幸せになって欲しいです。



牧に関しては「個人として」でもう少し書きます。

先に行っておくと圧倒的に牧推しです。

セクマイ当事者として

異性愛を「正」とするスタンスがストーリーに透けて見えたら、きっとこんなに両手を挙げて楽しんでいられなかったと思います。

最初の方の春田や6話の春田母のように、異性愛が前提の考えの悪気のないような発言はたまにありましたが(それでもたまにだし)
特にちずなど、ゲイでないキャラクターも同性愛を否定しない世界には安心しました。

そんな世界は「現実的でない」かもしれないけど、でもせめてドラマの中では同性愛を否定する世界から解放されたいのかな、と感じました。



でもやはり弟の夫と一緒で

セクマイはゲイしか出て来ないのな……。

(結果的に春田はバイという見方もできなくはないけど)

特に、ある営業所内での社内恋愛の話にしても

天空不動産東京第二営業所のゲイ率の高さwwwwwwwwwwwww

まだまだマジョリティには「セクマイ=ゲイ」という方程式なのかな、と感じました。
Xもパンセクも、社会全体でどんどん認知度を上げていかないとな~……。


個人として

前述の通り、俺は

圧倒的に牧推しです。

というか最早牧目線です。

シスヘテでBLやGLをたしなむ人たちはキャラに感情移入するのでしょうか。

俺も普段はBLGL含め、あまりフィクションのストーリーで特定のキャラに感情移入することはないんだけども、今回は牧の切なさや楽しさを終始学生時代に女子に恋していたときの俺に重ねてしまっていました。



春田の一挙一動に心の中で一喜一憂し(決して顔には出していない(つもり))
求められる嬉しさであれこれ世話を焼いてみたり(そして春田はまさか下心があるとはこちらから言うまで気付かない、何なら言ってもすぐ忘れる)
たまに鈍感さにイラついて暴言吐いたり
相手の幸せを願うと言いつつ、実際は自分の社会的立場を考えたりもう傷つきたくないから離れようと考えたり
離れたのに近づいてくる春田にまた心の中では嬉しいようなムカつくような複雑な気持ちになったり(そして顔には出していない(つもり))
つらいと分かっていながら一緒にいることを優先してしまい(特に7話の引き継ぎで「できるだけ回りましょう」と言った牧な)


デジャブかな!!!!!!

というシーンだらけでした。

(そして相当察しのよい人でないと気付かない牧の微妙な表情の変化が、本当にケントハヤシはすごい、表情筋だけ見てると高校生の俺かなとか思った、本気で)



まあそんな中、確かにストーリーではハッピーエンドで牧春民は何とか生きながらえているわけですけど

でもシスヘテ相手じゃそうはいかねえかんな

と考えてしまう俺がいます。



社会人になってから、都内の色々なセクマイのイベントやオフ会に時間とエネルギーがあれば参加していますが(勿論気が合わない、苦手な人も中にはいるけど(俺もそう思われてるんだろうし))、当事者の中にいて当事者として振る舞える方が確実に楽なんです。

特にパンセクなうえに性自認もないくせに見た目はどう見ても成人女性の俺を、性自認のない人として受け入れてくれる人なんてセクマイ当事者しかいねえんじゃねえのって、せっかくパンセクなんですけど、マジョリティとの恋は諦めている節があります。
そういうのもあって好きな人がここしばらくいないのかもしれない。
(恋愛しなくても生活は充実するし楽しめるというのは、最近の新しい発見でもありますが)



この先世の中に春田やちずのような人に出会いたい……切実に……



ところで中学時代の友人でしばしば遊んでいる同い年の女子もおっさんずラブを見ていたということが最終直前で分かって(ちなみに最終回直後に友人も円盤予約した)、この友人にはカミングアウトしたい、実際他のコミュニティに支障ないからできるし、と思いながら5年くらいできていないんですけど、このドラマを見ていたというならこの記事冒頭に書いたようなこのドラマを見ようと思った理由とかすべて、カミングアウトしてしまおうかなと考えていますが……まあチキンだから無理かな。
(ちなみに一時期その友人も好きだったけどさすがにそれはいつまで経っても言わないと思う)





出演者、スタッフの皆さん、大変お疲れ様でした!!

円盤予約したので続編作ってください!!!!!おなしゃす!!!!!