とあるXの戯言

色々社会不適合者の話

Xジェンダー当事者でその他色々社会不適合者による、どうでもいい話たち。

性別欄が年々つらい:だから今は書かない

性別欄。

色んなところで目にしますよね、

何かサービスへの登録手続き、
病院の問診票、
履歴書、などなど。

そして、大抵の場合男女の2択しかありません。

要は、せめて確実に選択させたいならば、「その他」を設けて欲しいという話なんですけれども。

Xジェンダーを自認するようになってからというもの、2択しかない性別欄が、年々遭遇する度に嫌気がさしています。
「だから俺は性自認がねえっつってんだろ!!!!!」と心で叫びながら仕方なく選択しています。
モノによりますが、大体性別欄は選択必須項目で、ウェブ上だと選択しないとエラーで先に進めないので。

ちなみにその前までは、ほぼ気に留めたことはありませんでした。
そのときは女性だと思っていたので……まあ身体は確かに女性だしな……といった感覚。

まあ問診票は治療の上で重要な点だから、そこに対するストレスはないけども。

つらさを一番感じたのは、新卒の就職活動のときでした。

(ていうかこのときから、つらさが顕在化したかな。)

最初の記事にも記載していますが、大学は女子大に行っていました。行ってしまいました。後悔はしていないけど。

私の就職活動は数年前ですが、少なくとも私の代の新卒の就職活動では、企業に提出する手書きの履歴書は大学が作成・販売しているものを使うのが通例でした。
(通例とかしきたりとか大嫌いだけど。)

そして私もご多分にもれず大学生協に履歴書を求めました。
さあ書くかねえとよくよく見てみると……、

性別欄が書けない。

すでに「女」と、黒々と印字されていました。

えええええええええええええええ

本当、絶叫レベルの驚きと怒りと悲しみでした。
選択する権利すらねえのか。

まあ確かに女子大だからね、自認女性の人しかいないはずだからね。
仮にこれに関して私が大学に抗議したら、「じゃあそもそも女子大に入るなや」って話になったんだろうし。そりゃそうだよ。
それに別に、女子大とか性別で入学する学生を限定する教育機関はよくないとかそういうことは全く思っていませんので。

でも、少なくとも私が入学を決めるときには、自分の性自認は女性ではないなんてまだ分からんかったのです。
日本は、性別はグラデーションだとか、男女2つだけでないとか、十代のうちに教えてくれないから。
ゴリゴリの男女二元論推しだから。

(それできっと、「性自認は男女2つだけではない、グラデーションである」ということを義務教育で教えて欲しいと声を上げたら、「思春期にそんなことを教えるなんて時期尚早だ」という人が必ずいるんだろうなと思います。そして、大体そういう人は私が女子大に進学したことを批判するんだとも思います。)

でも、性別欄がマジョリティに対しては必要だし有用だというのも分かっています。

前に、企業の人事を担当されている人の話を聞くことがありました。

例えば、20代半ばの中途採用希望の女性が応募して来たとします。
そうすると人事としては、この女性は業務に慣れたころにちょうど産休育休に入る可能性が高いと考ます。
せっかく戦力としてこれから力を発揮していって欲しいときにお休みに入られると、中小企業では影響が大きいのだそうです。確かにそのくらいは私でも容易に想像がつきます。

そして実際、最近自分の務めている小さな会社でも、中途として入社して1年程度の女性社員2名が相次いで産休に入られました。
会社から妊娠と産休開始期間を通知されたときに、私はこのお話を思い出したのです。

いや、多分誰かと結婚して新しい命を授かる可能性がかなり低い私としては、新しい命を授かって育てるということ以上に大変で素晴らしいことはないように思うけども。

話を戻して。
とりあえず、新卒の就職活動のときは女性で通しました。
クローズドのまま実家暮らしだったこともあって、目立ったことはできませんでした。

例えば、リクルートスーツを母と買いに行ったときには、私はパンツスーツだけでよかったのですが(スカートの全てが嫌いなわけではないがタイトスカートは嫌い)、店員さんに「選考会場にはスカートで行がなければならない」と言われてしまい、両方買って、選考会にはスカートを穿いて行きました。

それから数年後、転職活動をすることに決めました。

そして、転職活動ではXジェンダーであることをオープンにすることにしました。

社会人になってから色んなセクマイイベントに参加することで、日に日に「Xジェンダーであるところの自分」に自己肯定感をもてるようになっていたし、少しずつXジェンダーを認めてもらえる他人を増やすことでもっと自己肯定感を高めたいと思っていたからです。
正直ホルモン治療などしているわけではないのもあって、「誰でもトイレがないとダメ」とか具体的に何か企業側に求める条件はないため、若干混乱を招いている感は否めませんが、今のところ公開してよかったと思っています。

現状、CMでよく見る転職エージェントのうち2つに登録しています。
性別欄に関しては、下記のように対応しました。

一つ目は、指定フォーマットのExcelファイルで履歴書の提出を求められました。
そして、そのファイルは性別欄で男女どちらかを選択しないとエラーになるマクロがかかっていました。
そこでエージェントに、Xジェンダー云々なので性別欄が空欄でもエラーにならないものを送って欲しいと連絡しました。

最初は分かりました、と割とあっさり回答されました。

しかし一転して翌日、推薦状に書くことはできても履歴書でそのような対応はできないと連絡が来ました。
私は何故なのか理由を明記して欲しい、でないと納得いかない、と返信しました。
すると翌日、やっぱりOKでした、とエラーが解除された添付ファイルとともに返信が来ました。

利用はしていますが、正直最初にエージェントとの時点でこんなことがあったら、あまり信用はできませんね。

2つ目は、ネット上で情報を登録する媒体なのですが、性別欄は男女どちらかを選択しなればならない選択必須項目だったため、「『その他』とかねえのかよ」と嘯きつつ、仕方なく戸籍上の性別を選択した。
その後、担当者が決まった時点でXジェンダー云々なので推薦状にはその旨記載して欲しい、と連絡しました。
この場合はあっさり快諾され、その後断らるなどのこともありません。
実際、その後の選考段階で企業からXジェンダーに関して言及されたこともあるので、確かにセクマイであることは伝わっているようです。

色々話が飛んで着地点を見失っていますが、とにかく今後性別欄を設ける際には、以下を考えて欲しいです。

・本当に性別という情報は必要なのか?性別の情報を何に役立てるのか?
・答えたくない人、男女どちらかでない人への救済措置は設けられないのか?

以上、性別欄が嫌な人の話でした。