とあるXの戯言

色々社会不適合者の話

Xジェンダー当事者でその他色々社会不適合者による、どうでもいい話たち。

イッショウガイ観た

皆さんこんにちは。

先日はセクマイをテーマにしたドキュメンタリー映画恋とボルバキア」に関して無茶苦茶まとまりのない感想をアップしましたが、立て続けに今度は

舞台「イッショウガイ」を観てきました。

気持ちが冷めぬうちにと観賞後数時間で先日届いたポメラを使ってこの記事を書いているところです。
それでもネタバレになっちゃうから今回は公演終了後に記事を公開した次第です。
(にしてもポメラがマジでストレスフリーで文字を入力できることを今カタカタしながら実感しています。画面見やすいし。)

まずは舞台の情報および私の個人的な至極どうでもよいことから。

どういうテーマの舞台なのかをここで書いてしまうこと自体がネタバレになりかねないのでそれは後ほど書きますが(まあ私が観に行ったというのと公式の情報だけでも察することはできると思いますが)、
私が今回この舞台を見に行った理由は

この舞台の企画脚本が若林佑麻さんだったからです。

では、その佑麻さんをご存じでない方向けのご紹介としては、私が佑麻さんを知るきっかけとなったLGBTERの記事がよいかと思うので読んでみてください。

佑麻さんはFtM当事者のタレントさんです。

LGBTERの写真を見て

顔がどストライクだな!!

とファンになってしまいました。
(性別限らず面食いなところがあります。だからJ事務所にも肩入れしているわけで。)

即ついったもフォローしました。

なお、「佑麻」さんと勝手ながら呼ばせていただいているのは、もう一つ佑麻さんを応援したいと思った個人的な理由があるのですが
これを言うと私という人間が実世界で特定されかねないので、こちらに言及するのは控えさせていただきます。

で、念願叶って、本編後のトークショーおよび終演後のあいさつでロビーに並ばれていた佑麻さんを実際にこの目で拝めました。

顔ちっさ!!!!!

小顔ってこういうことを言うんだなと思いました。
ますますファンになりました。

今度は佑麻さん自身の演技を観たいなーと思っています。
舞台だったら、佑麻さんの顔写真を手に入れられるかもしれんしね。

まあ私の話はさておき、それでは舞台のお話をしたいと思いますが、
やはり例によってネタバレになるので、大丈夫という方はスクロール願います。















ご多分に漏れずよかったです。

ただ、佑麻さんって(メディアで拝見する分には)明るくてノリがよいイメージなので、この演劇もそういうコメディ的要素多めだと思っていましたが

めっちゃ重い。

そして涙ちょちょ切れ。

私も気づいたら後半は泣きっぱなしで(本当に本当は全然泣けない無慈悲な人間なんだぜ)、
隣の人も含めて、会場全体的にすすり泣きしている音が聞こえました。
私に至っては途中オンオン泣きたいくらいでしたけど必死で抑えました。
これはよい誤算だったなと思います。

ただ、こういう日に限ってハンカチ忘れる自分はどうにかしたい。


何が現実で、何が理想で、何が本当で、何が嘘なのか。(フライヤーより)(あらすじ)

一つの時間軸は大阪、ある日突然倒れて後遺症を患った母の面倒を見つつ、家族や友人、恋人との関係に葛藤しているいっぱいいっぱいの女子高校生、否男子高校生。
彼はFtMだが、(ほとんど)誰にも言えず、加えて母の介護も重なり、進路も決めなければならず、限界が来ていた。
そして高校卒業後は一人上京し、家族からも友人からも離れて、男性として新しい人生を歩む決意をする。

もう一つの時間軸は東京、ライターとして少しずつ売れてきた矢先に念願の啓発本を出版することが決まった、理解ある恋人も友人もいる、順風満帆、幸せそうなある若者。
彼もFtM
仕事も順調なうえに、周りにはFtMの同志や、FtMであることを受け入れてくれた彼女もいる。
よし、「偏見と差別をなくす」をテーマにした本を書き上げるぞ。

ただ、この「東京」軸は、さらに本を出版する間の準備期間と、出版直前の2つの時間軸が流れているように見えたのですが……。

あー、これ以上はもう言いますまい。

まあ元々ミステリーの犯人を当てるのがものすごく苦手ということもありますが、リード文のとおり、すっかり騙されました。

ただ重いだけじゃなかったです。

世の中綺麗事なんてない、現実は厳しい、色んな立場の色んな考えの人がいる。
「障害」をテーマにしたものすごく難しいテーマだったと思いますが、佑麻さんなりの答えを見届けられてよかったです。
(ちなみに話の題材は佑麻さんのほぼ実体験ということだそうです。)

観た人によって感じること、考えることは違うと思いますが、

セクマイ当事者の一人としては「セクマイの一人の自分がどう生きるか」ということに考えざるを得ない演劇でした。

正直私は嫌なことから逃げ続け、逃げるための努力は惜しまない質のため、この演劇から投げられたボールを真っ正面から受け取ることはまだ出来ていません。
きっと、真にこの演劇を自分の中に落とし込むには相当な時間がかかるだろうなと思います。
多分、いつか、私なりの答えを出せたらよいなと思います。



以降は、単なる自分の興味のまま観賞したのが初めてだったので(劇を観たのは学生時代の総合学習以来)、
その点も含めて演劇には直接関係ないお話をつらつら書こうと思います。


「分かりませんか?」→めっちゃ分かるな

席の案内もされていた方なのですが、最後に出てくるキャラクターのFtM役の方は、出演者の中で唯一本当にFtM当事者の方です。
「(私がFtMだということが)分かりませんか?」は、その中の台詞です。
(友情出演だそうです。)

なんだろうね、だからどうしたって話なんだけど「あ、この人FtMだろうな」って、分かるよね。パス度高くても。

いや、自分では気付いていないだけで、実は真に埋没しているFtMの存在には気付けていないかもしれないけど、何となくは分かる気がするんですよね。

ほんと、だからどうしたって話だし、「どうもしないけど」としか返せないんだけど、

ただ「めっちゃ分かる」と言いたかっただけです。

失礼しました。


アフタートーク面白すぎかな

私が見にいった回(12/24夜)は本編終了後にアフタートークが開催され、東京編の出演者を中心についったから寄せられた質問に答えられていたのですが

みんなノリよすぎないか???

演劇の方はこういうモンなのか?
芸人並な会話のテンポのよさを感じた……。

そして、最後に全員が出てきて思い思いにしゃべってたときのカオスな様子は、確かにこれはグループで分けないと収集つかねえわww
っていうくらい、夜も21時を回っていたのに、皆さんエネルギッシュでした。
エネルギーをもらえたな、と思います。


FtM講座」とは

今回、上述の通りFtM役の方のほとんどを男性が演じていたので、佑麻さんがFtM役出演者の方に「FtM講座」をされたそうです。
シス男性とも違う、でも女性ではない、FtMならではの振る舞い方を教えたそうです。

FtMっぽい振る舞いとは何なのか。

その際には、たとえば以下のような例が紹介されていました。

スマホで画面を相手に見せるとき、
男性ならば自分と相手は向き合ったまま、画面を相手に見せることが一般的だそうです。
一方で、FtMの方の場合は自分自身が相手の横に近づいて、一緒に画面を覗くような、かなり近距離な姿勢になるのだそうです。

(俺だったら、まあ俺そもそもFtMじゃねえけど、圧倒的に前者だけどな……。)

また「○○らしさ」とか定型を作って広めてしまうと物議を醸しそうですが、でも興味があるのでどんなもんか是非聞いてみたいなと思いました。

まあ、8割方は佑麻さんから講義を受けたいっていう、ただのミーハーな願望なんですけど。


アンケートの性別欄

席に置かれた色々な資料の中にアンケートがあって、

そこに記入者の「性別欄」がありました。

ただ、男女二択ではなく、自由記述でした。

これがこの演劇でない、セクマイに全く関係ない場で性別欄が自由記述だったら

「おっ、なかなか先進的だな」

と好意的に受け止め、Xジェンダー、FtX、無性、もしくは本当に空欄とするか、どうしようかなーなんて考えると思いますが

今回は、たとえ自由記述であっても、何かにひっかかっている自分がいました。

恐らく演劇の性質上、お客さんはシスヘテでない人の割合が日本社会全体より高いのではないかと思います。
自由記述だから自分の一番しっくり来るように書けるし、「男性・女性・その他」よりもさらに間口が広がっていることは確かなのですが

そうなってくると最早このアンケートに性別欄は要るのか?

と考えてしまいました。
まあ、きっと浅はかな私には想像もしていなかった理由があって性別欄を設けているとは思うのですけど。

(結局のところアンケートはメッセージのみ書いて提出しました。)



以上、かなり長くなりましたが、この舞台、残念ながらもう終了しています。
(だから感想上げたわけだし。)

2018年初夏頃にDVDが出るそうなので、気になる方はご購入いただければよいのではないかと。

ただ、舞台ってやっぱりその場の臨場感があった方が圧倒的によいんだな、と実際に見にいってひしひしと感じました。
年の瀬に新宿で公演しただけだから、時間や地理的都合で興味はあったけど見に行けなかった人も多かったんじゃないかなと思います。
また、今度は大阪辺りで開かれたらよいんじゃないかな、と個人的には思いますけどね。
これで終わりなんてもったいない。

まあ、そのもったいなさ、儚さ、刹那感というのが舞台の醍醐味なのかもしれませんが。(舞台全然知らないくせに言ってごめんなさい。)


舞台に関わった皆々様、ありがとうございました。そしてお疲れ様でした。